総合健診を受診される方へ

12.健診の上手な受け方(Q&A)

1.受ける時期

1-1.何歳から受診したら良いでしょうか?

健診の目的は、個々の受診者の健康増進を支援することにあります。どのような健診がその目的達成のために効率的で優れているのかを検証し、健診のあり方について世に発信していくことは、日本総合健診医学会の責務です。

1-2.どのくらいのペースで受診すれば良いでしょうか?

年に1回定期的に健診を受けることが望ましいです。


2.施設の選び方

2-1.どこで受診したら良いでしょうか?

本学会の厳しい学会基準を満たした優良認定施設をお勧めします。
施設一覧はこちらから確認できます。

2-2.学会の優良施設認定とはどんなものでしょうか。

「当日面接」や「フロアの独立」、「検査の精度管理」などの厳しい基準を満たした総合健診施設を認定しています。認定施設には認定証を発行しています。

2-3.毎年受診する施設を変えた方が良いでしょうか。

異常の発見はそれまでの本人の健康状態を把握しておくことが大変重要です。そのためには、出来る限り同一の施設で繰り返し受診することが望ましいです。 健診機関を変える場合には、それまでの健診結果を持参し、面談の際に総合して指導を受けると良いでしょう。


3.総合健診の特色

3-1.総合健診が他の健康診断と異なる点は何ですか。

総合健診は大きく以下の特徴を持つ健診です。

(1)当日面接
(2)健診フロアの独立性と受診者の動線確保による快適環境の提供
(3)精度管理の徹底
これらにより、受診者へより安全で確実な健診を提供しています。

3-2.当日に面接を行う意義は何ですか。

当日に健診の結果説明を行い、異常所見について再検査・精密検査の必要性を受診者が認識することで、疾病の早期発見や早期治療に繋げることができます。また、当日の面接時に事後指導を受けるほうが、後日行うよりも生活習慣の改善率が高いことが知られています。

3-3.フロアの独立とはどのようなものですか。

大勢の受診者と患者が入り乱れると、長い順番待ちが生じたり、感染症が広がってしまう危険を高めることになり好ましくないため、本学会の優良認定では、健診フロアの独立性が重要であるとしています。

3-4.総合健診ではなぜ高い精度管理を求めるのですか。

総合健診の結果判定の基となる臨床検査の結果データの信頼性を保つためです。検査データは、検査機器の性能、診断薬の品質、検査方法、準備から結果報告までの間に携わる人の能力により決まります。これらの信頼性を見張るのが精度管理の役割です。

3-5.病院と比べ、健診では高い精度管理が必要でしょうか。

必要性は病院などの医療施設でも同じです。しかし、総合健診では、症状のない受診者を対象に健康状態を評価しなくてはならず、加えて、年に1~2回の限られた機会で判断するため、施設間差の少ない正確な臨床検査と適切な判断が求められます。

3-6.健診関係でも専門医制度があるのでしょうか。

総合健診には診察、各種検査の判定、保健指導計画の立案など多くの専門的な知識を必要とします。 本学会と日本人間ドック学会は「人間ドック健診専門医」を創設して、共通のカリキュラムによる人材の育成に努めています。 また、総合健診には多くのスタッフが関わることから、指導士、業務管理士の専門資格認定を行っています。

3-7.画像関係の診断は読み手の先生の能力に依存するのでしょうか。

画像診断の精度は、検査または撮影する技師の能力と、読影または判定する医師の経験などに左右されます。 とくに胸部単純撮影では読影医の能力による差異が生じやすいため、本学会では胸部単純撮影の判定について毎年全国サーベイを行って、総合健診施設での胸部読影に問題がないことを確かめています。

3-8.学会の優良認定施設の認定は第三者が保証しているのでしょうか。

学会による審査に加え、健康評価施設査定機構の審査を受け認定された施設が、優良認定施設になることができます。健康評価施設査定機構(平成18年9月26日設立)は、中立・公平な立場で健診等を行う施設の評価、公表を行っている機関です。

3-9.検査項目の設定はどのようにされているのでしょうか。

優良認定施設では基準検査項目として表1に示す検査項目を実施していますが、各施設で臨床上必要と考える項目をそれぞれオプション検査として加えています。施設によっては、大腸内視鏡検査、MR検査、CT検査、PET検査を行っています。ご希望のオプション項目の有無を確かめて受診してください。なお、基準検査項目は学会と健康保険組合連合会との間で契約されています。

3-10.学会として健診施設の職員や技師のレベル向上のために研修会や制度を設けていますか?

専門医や医療関連専門職向けの研修会、精度管理や優良施設認定基準、特定健診・特定保健指導に関する研修会を毎年行っています。他にも超音波スクリーニング研修講演会など、専門学会との共同主催により、普段の健診では出合いにくい疾患を学んだり、健診に関する最新の知識を技師が修得するための機会を設けています。


4.受ける際の注意点

4-1.受診する前に模範的な生活習慣に変えた方が良いでしょうか。

健診は日常生活での身体の中の様子を見る必要があります。普段とは異なった模範的な生活をして健診結果を得たとしてもその結果は参考になりません。特別なことはせず、普段と同じように過ごして健診を受けるようにしてください。

4-2.結果説明を受ける必要はありますか。

健診は適切な指導を受けて初めて健康に役立ちます。健診終了時には専門家からのアドバイスを受けてこれからの健康に役立てるようにしましょう。

4-3.医師との面談の際に気を付けることはありますか。

面談の際、今回の健診結果を中心にアドバイスが行われます。以前の健診結果があればより詳細なアドバイスを受けることができますので、受診の際には持っていくと良いでしょう。

4-4.薬を飲んでいますが、健診を受ける前に注意すべきことはありますか。

■健診前
・医師から毎日飲むよう指示されている薬は、通常通り服用してください。
・ビタミンCや総合ビタミンは尿検査に影響するので健診2日前より服用を控えてください。
■健診当日
・糖尿病薬は、検査中低血糖を起こす可能性があるので服用しないでください。
・インスリン注射をしている方は、当日の朝は注射をしないでご持参ください。
・「高血圧、心臓病、うつ病、パーキンソン病、てんかん」の薬は、健診受付前2時間までに、コップ半分程度の量の水で服用してください。
・「高血圧、心臓病、うつ病、パーキンソン病、てんかん」以外で医師から毎日服用するよう指示されている薬は、胃のX線検査終了時に服用していただきますのでご持参ください。

4-5.健診前日の食事はどのようにしたらよいですか?

夕食は、健診受付時間の10時間前までに済ませるようにしてください。 夕食後から就寝時までは、水・日本茶以外は飲まないでください。

4-6.アレルギー体質や妊娠の有無は健診で問題ありませんか?

・アトピー性皮膚炎、喘息、薬物アレルギーのある方は、胃のバリウム検査でもアレルギー反応が出る場合がありますので、あらかじめ受診施設にご相談ください。
・妊娠中の方や妊娠の可能性のある方(妊娠4週以降)は、X線検査を受けないほうが良いので施設に申し出てください。
・婦人科検診を受けられる方は、生理期間中以外の受診をお勧めします。