総合健診を受診される方へ

9.学会の精度管理へのこだわり

求められる時代に合った検査精度

「なぜ、総合健診では厳しい精度管理が求められるのですか?」という質問が寄せられます。日本総合健診医学会が精度管理調査を始めて40年が経過しました。この間の臨床検査の進歩はめざましく、かつてとは比べものにならない高い精度の検査が行われています。しかし、技術の進歩は今も止まることはなく続いており、優れた技術を常に維持し生かしていくには、精度管理調査を中心としたGLPの考え方を進めていく必要があります。

総合健診ならではの精度管理へのこだわり

精度管理の必要性は、病院などの医療施設と何ら違いはありません。しかし、総合健診施設は治療行為を行わず、通常、症状の無い受診者を対象に健康評価だけを行うため、正確な臨床検査と適切な判断によるサービスだけで信頼を得なければなりません。このため、総合健診施設は治療行為を行う医療施設とは異なるこだわりをもって検査に臨んでいます。

加えて、総合健診では年に1回ないし2回の限られた機会で、受診者の次の1年の健康を判断しなければなりませんし、転勤などで健診施設を変えなければならない方も多いため、健診施設間での検査結果と判断の普遍性を保つことも大切です。こうした必要性から、本学会では総合健診における精度管理の重要性を強く意識しています。

データが示す総合健診施設の質

日本医師会によっても、約3,000の医療施設を対象として年1回の精度管理調査が行われています。日本総合健診医学会の調査結果を日本医師会の結果と比べると、本学会の約400施設の方が施設間の差が少ない検査を行っていることが分かります。

つまり、「総合健診施設」は全国の医療施設の中で、良質で粒ぞろいの施設集団であることを約束できるという意味になります。


検査の質のみならず、学会では総合健診に携わる健診従事者のスキルアップにも力を注いでいます。次項で取り上げる研修会もその一環です。