理事長挨拶

理事長挨拶

「学会の進むべき方向性」

 私が理事長に就任してお陰様で1年余が経過いたしました。昨年5月より新型コロナウイルスは感染症法上の第5類へと変更されました。ウイルス自体の収束傾向に加え、法的区分の変更は社会活動を明らかに活発化へと導き、結果的に2023年度は社会がコロナ前の生活を取り戻す移行期の1年だったと思います。

 受け控えによって受診者を減らした我々の領域にも、以前の活気と繁忙さが戻りました。2023年1月に理事長に就任させて頂いてから1年半経過しましたが、私がこの間に先ず行ったことは組織改革と、関係する団体に直接出向いて幹部の方々にお目に掛かり、意見交換をすることでした。近年、個人情報保護やハラスメントあるいは臨床研究など学術団体の活動に関係する法律や関連法規、ガイドライン等は目まぐるしく改定されています。私は、永年の副院長・病院長経験から、事務局と学会委員会等の役割を明確化するとともに、コンプライアンス強化を目的としたガバナンス整備を行い、現在も継続中です。他団体への訪問では、日本人間ドック・予防医療学会様を皮切りに、日本専門医機構様、全国健康保険協会(協会けんぽ)様、厚生労働省(一般健診と歯科検診)様、全日本病院会様、結核予防会様、健康保険組合連合会様、健康評価施設査定機構様とご面会させて頂き、大変有意義な意見交換をさせて頂きました。そして、結論として私が強く感じたのは、私たち学術団体に求められる事は様々にありますが、その中でも、やはり「科学的エビデンスの探索、構築、発信、検証が最も重要」で、皆さんが期待していると云う事でした。

 日本はいま人口減少と少子高齢化そして経済の低成長、円安などによって国力が弱りつつあります。それを跳ね返す鍵は女性と高齢者の活躍であり、さらにイノベーションが加わることで実効性が増すと考えます。そのための発想力涵養と研究力向上を学会が強力に推進し、未来を切り拓く原動力にできればと考えます。これからも様々な情報を発信しつつ、学会の活性化を図って参ります。皆さま、ぜひ学術大会や各種研修会への積極的な参加をよろしくお願い申し上げます。

一般社団法人 日本総合健診医学会理事長
西﨑 泰弘

東海大学医学部総合診療学系健康管理学領域 主任教授
東海大学医学部付属病院 健診センター長

2024年6月