「変革の年に未来への確かな歩みを!」
日頃から日本総合健診医学会の活動にご理解と御協力を賜わり厚く御礼申し上げます。
令和7年(2025年)1月に開催されました理事ならび役員の改選において、全会一致で理事長に再選頂きました、東海大学医学部の西﨑泰弘です。
また加えまして、同期間中に行われました国際健診学会(IHEPA:International Health Evaluation and Promotion Association)の理事会に於いて同学会の理事長を拝命いたしました。
A.2023-24年に行なったこと
私が当学会理事長に就任致しました2年前は、当学会設立50年目であるとともに、同年5月に新型コロナウイルスが感染症法上の5類に移行した、学会ならび世の中における節目の年でした。私は、それまでほとんど行われなかった他団体との直接交流をトップの立場で試み「学会が期待されていること」「真に行うべきこと」について考え直しました。そしてそれが「科学的エビデンスの探索、構築、発信、検証」であると確認し、皆様にご報告させて頂きました。そのほか私の1期目では、学会顧問弁護士を設置し、備えるべき仕組みを数々整えました。具体的には、未整備だった規定を正文化し、近年頻回に改訂される法律に則った個人の尊厳遵守や、学会の社会的責任を果たすための透明性と公平性を確保するための取り組みを行いました。
B.現在の課題と進むべき方向性
学会としての期待や要望に応えつつ、今年は定款3条(目的)に謳われる「健康教育を有効に活用した国民の健康の保持と増進への貢献」に力をいれるべき年だと考えています。健康教育とは、すなわち「保健指導」です。当学会の創師たる日野原重明先生は「健診は医師のみにて成り立つにあらず」と言われ、看護師や保健師など医師以外の医療職の育成やキャリアアップに生涯尽力されました。折しも現在、協会けんぽが健保連人間ドック健診への補助事業を開始しようとしています。新たな大団体を迎え入れる今年は、我々にとって「変革の年」と言っても過言ではないと思っています。そしてその重要なキーワードが「保健指導の確実な実施と普及」です。当学会が日野原先生の教えを一層守りながら励むべき年であると思っています。
C.現在開始していること
そのために、今年度から新たに理事2名をお迎えした新体制のもとで、様々な施策を開始しています。
1.審議員の機能と権限拡大
厳正な審査を経て付与される審議員の機能向上と権限拡大を図り、以って学会事業を機動的に推進する取り組みを開始しています。私は1期目に「理事長特別補佐」を設置しました。理事に限定していたこの立場を、5月の理事会で審議員まで拡大致しました。審議員の理事長特別補佐は、役目に応じて理事会への出席が可能となり、意見を述べることができます。新たな意見などが入りやすい環境を作り、理事会のさらなる活性化を図ります。
2.検討会の設置
またこのたび、委員会とは別に審議員が主導できる「検討会」の設置を可能としました。これは、定款により理事会や総会の管理下に定められる委員会とは少し異なり、理事長と執行役員会の承認を得れば、さまざまな健康課題に関する研究や調査等を行うグループを学会内に設置できる仕組です。学会の人的・知的資源を活用したり、独自の資金調達も行える自由度を持たせました。詳しくはHPの規定集をご覧頂き、日頃より課題を感じている審議員さんはご相談ください。
D.学会の基本方針の励行
上記のような、時代や環境の変化に応じた施策を、迅速性をもって柔軟かつパワフルに推進しつつ、理事長就任時に掲げた下記の基本方針はブレることなく遂行して参りたいと思っています。
1)既存諸業務の着実な励行と発展・新化への継続努力
2)学術団体としてのアカデミズムの推進
3)職能団体としての会員サービスの向上
4)設立母体たるIHEPAとの連携強化と日本式健康診断の国際展開支援
5)政府や日本医師会など、国民の予防医療政策を担う機関との連携強化
6)国内予防医療系学会との連携強化
これからもみなさまの一層のご信頼とご協力を得られますよう努力して参る所存でございます。今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。
一般社団法人 日本総合健診医学会理事長
西﨑 泰弘
東海大学医学部総合診療学系健康管理学領域 主任教授
東海大学医学部付属病院 健診センター長
2025年7月