理事長挨拶

理事長挨拶

 日頃より日本総合健診医学会の活動にご理解とご協力を頂き心より感謝申し上げます。

■ 直近の学術大会から
 当学会は毎年、1月末から2月初旬に学術大会を開催しています。今年は1月23-24日に高木重人大会長のもと、横浜にて開催されました。この大会では、演題数、大会参加者、出展企業様など、ほぼ全てに於いて、これまでの学会記録を大きく塗り替える大変な盛会となりました。高木大会長とスタッフ様の企画力や運営力の素晴らしさがあった事を疑う余地はありませんが、予防医療への関心と期待の高まりが背景にあると感じ大変嬉しく思いました。

■ 我が国の置かれた状況
 日本は昨年(2025年)、人口の半分が50歳以上になりました。団塊の世代(第一次ベビーブーマー)に続く人口の山、彼らの子供達である第二次ベビーブーマーが50歳を越えてきたためです。そして今後20年間、2040年台中半までは高齢者人口は増加し続け、社会保障費が膨張し続ける事が確実視されています。しかし、医療費の個人負担を一律に増やせば、若者世代の生活が苦しくなり、もう一つの社会問題である「少子化」が進んでしまいます。ですから「健康で元気に社会活動を継続できる高齢者を増やす」は、医療費の抑制と労働力の下支えの両面で有益といえます。国は「人生100年時代構想」や「一億総活躍社会の実現」を掲げて、多くの法律を改定して働き方改革を推進しています。そしてさらに、令和3年4月「高齢者雇用安定法」を改正して、70歳まで就業機会を与えることを、事業主の努力義務としました。私達の果たせる役割は広がっていると感じています。

■ 日本総合健診医学会の役割とは
 日本総合健診医学会は、国民の健康の保持と増進に貢献することを目指す人達が、情報交換を通じて相互に交流を深め合うことを主たる目的に、53年前に聖路加国際病院の日野原重明先生らによって設立されました。戦後の我が国は、働く男性中心に社会が形成されて来ました。しかし現在では、女性は元より、高齢者、外国人など、働き盛り世代の男性だけでなく様々な人々の健康診査と健康増進に取り組む必要があります。私たちは、学術団体として創設者たちの教えに従い、多様性を受け入れ、お互いを認め合い、慈しみの精神を以て役割を果たして参ります。

■ 2025年の訪問から
 私は、理事長に就任した2023年から毎年、健康診断や健康増進に関連する団体に赴いて、直接対話の中で意見交換を行っています。そして2025年も複数の団体様と意見交換を行いました。その中で、初めて経済産業省のヘルスケア課を訪ねました。
 ヘルスケアは、医療や介護保険などの公的サービス以外の、「健康増進」や「疾病予防」「介護負担軽減」などの広い範囲を指します。そこではPHR(personal health record)の活用、健康食品や健康器具、デジタルヘルスケアを活用した健康の下支え、そして健康経営の推進などに重点が置かれていることを教えて頂きました。私達の保健指導に応用可能な部分も多く、この方面の我が国の取り組みを知りながら進む重要性を改めて感じました。

■ 当学会の方向性
 それらを踏まえ、私は理事長就任時に掲げました基本方針、1、既存諸業務の着実な励行と発展・新化への継続努力、2、学術団体としてのアカデミズムの推進、3、職能団体としての会員サービスの向上、4、設立母体たるIHEPAとの連携強化と日本式健康診断の国際展開支援、5、政府や日本医師会など、国民の予防医療政策を担う機関との連携強化、6、国内予防医療系学会との連携強化、を一層着実に推進するために、1)国民の健康レベルの保持・向上を目的とした全てのけんしん受診率のアップと保健指導体制の強化、2)女性健診、高齢者健診、歯科健診、産業医支援、遠隔診療などの各種課題への情報収集と対応・整備、3)学術団体としてのエビデンス構築・発信、4)IHEPAや海外関連機関との連携、などの調査や実践を行っております。
これからも世の中の変化を敏感に捉え、学術団体として健康審査と健康教育、健康増進の分野に貢献できるよう取り組んで参ります。
皆さまの一層のご理解とご支援を、心よりお願い申し上げます。


一般社団法人 日本総合健診医学会理事長
西﨑 泰弘


2026年7月