認定基準
優良総合健診施設認定基準と認定更新要綱 -2024年度版-
本制度は、一般社団法人日本総合健診医学会(以下「本学会」という。)が定める要件を満たした施設を優良総合健診施設として認定し、総合健診の質を保証しようとするものである。
優良総合健診施設として認定された施設は、健康保険組合連合会(以下「健保連」という。)との総合健診指定施設となることができる。
Ⅰ.本学会の定める要件
1.本学会の会員であること。
2.施設が独立しており、一般診療受診者と区別されて総合健診が行なわれていること。
3.本学会の規定する基準検査項目が総合健診受診者に対し行なわれていること。
4.総合健診全体の品質管理が行なわれていること。
5.受診者全員に対して当日面接を行い、健診結果の説明と生活指導を行うことができること。
6.一般社団法人健康評価施設査定機構に入会していること。
各基準の具体的な内容については「Ⅲ.優良総合健診施設認定基準」による。
Ⅱ.第三者評価(認証)
第三者評価(認証)制度とは、事業者と利害関係のない公正・中立な「第三者」が、その製品の品質や安全性を「確認(認証)」し、その基準に適合していることを証する制度である。
本学会でも、優良総合健診施設の認定事業を行うにあたり第三者による評価(認証)を受け、その質を担保することが重要と考える。このため、一般社団法人健康評価施設査定機構(以下「査定機構」という。)に本学会が実施する認定制度をその判断基準を含めて開示し、制度全体が適正であるという認証を受けている。これによって、本学会が優良総合健診施設として認定した施設は、第三者が認めた方法による認定施設であり、第三者による保証を得ることができる。
総合健診施設が優良施設として認定されるには、本学会が定めた優良総合健診施設認定基準を充足していることが必要である。
1.本学会の会員であること
(1)施設長が本学会個人会員(正会員・一般会員)であること。
① 本学会個人会員である施設長が退任した時は、後任者が本学会個人会員として入会すること。
② 施設長が申請までの3年間で1回以上、本学会の学術大会に参加していること。
(2)施設長以外に施設に所属する医師2名が本学会正会員であること。
(3)本学会の施設会員であること。
(4)施設に所属する看護師・保健師・臨床検査技師・放射線技師・管理栄養士等のいずれか1名以上が本学会一般会員であることが望ましい。
ただし、本項(1)、(2)にいう「施設長」は「健診部門の責任者」でもよい。
2.施設の独立性
健診フロアが独立しており、円滑に総合健診が行われるようレイアウトされていること。 独立したフロアで総合健診を実施していない場合は健診受診者と一般診療受診者との交錯がないこと。
病院または診療所に併設されている場合も、受付、診察室、面接室、放射線検査室、生理検査室などが外来部門から独立して設置されていること、 もしくは機能的に分離されていること。
3.基準検査項目
表1(省略)に示す基準検査項目を総合健診において実施していること。
4.品質管理
(1)総合健診の品質管理
総合健診に関わる全てについて信頼性を保証するという概念に基づいて環境が整えられ、 機器整備、文書取扱、内部情報伝達の正確性等を保証できる管理体制が構築されていること。
① 施設長(または健診部門責任者)以外の「総合健診の信頼性を管理する担当者」が任命されていること。
② 職員の1名以上が、本学会が主催する精度管理研修会および優良施設認定基準研修会の双方に、申請までの3年間に少なくとも1回以上出席していること。
③ 品質に関する文書や機器整備記録等が明確であること。
(2)検体検査設備
① 検体検査を自施設内で実施している施設においては、内部精度管理を定期的に行って検査精度を維持するとともに、本学会が行う外部精度管理調査において検体検査の全ての項目を網羅し、かつ2回以上連続して「良好」の成績を維持していること。
② 検体検査を外部業者に委託(以下「外注」という。)している施設においては、 当該施設の責任において本学会の行う外部精度管理調査の検体検査の全項目を網羅して受け、かつ2回以上連続して「良好」の成績を維持していること。
③ 外注している施設においては、定期的に外注先の内部精度管理の報告を受け、 本学会からの要請があった場合は、直ちにその内容と成績を提示できること。
④ 基準検査項目の結果が、全受診者の当日面接に間に合うように報告されていること。
(3)情報管理システム
① 健診に関わる情報を電子的に保存できる健診情報管理システムを保有していること。
但し、併設施設との共用も認める。
② 資料、データなどが健診情報管理システムに保管され、個人情報取扱責任者が任命されていること。
③ 受診者統計、施設調査票、精度管理調査等の報告書等を含め電子媒体による出力に対応していること。
(4)施設要員
以下の要員が確保されていること。但し、①の1.以外は併設施設内の他の部門との兼務を認める。
① 医師
1.健診経歴を有する専従の健診医(人間ドック健診専門医であることが望ましい。)が1名以上常勤していること。
2.面接医がいること。
3.胸部X線、上部消化管X線、超音波、マンモグラフィ(実施施設のみ)の各画像読影医がいること。
4.心電図及び眼底写真判読医がいること。
5.婦人科医が婦人科健診を実施していること。
6.婦人科細胞診の細胞採取は婦人科医によること。
② 臨床検査技師:2名以上在籍していること。
③ 診療放射線技師:2名以上在籍していること。
④ 看護師または保健師:2名以上在籍していること。
⑤ 個人情報取扱責任者:1名以上任命されていること。
眼圧検査は医師、看護師、または視能訓練士によること。
本学会が認定する総合健診指導士、総合健診業務管理士が常勤し、受診者統計、施設調査票、精度管理調査などの業務にたずさわることが望ましい。
(5)フォローアップ
① 健診後の状況が適切に把握できていること。
② 要精検、要治療者への対応が適切に行われていること。
具体的には、再検査や精密検査、治療(受診)勧奨の際に紹介できる連携医療機関があって、紹介と結果のフィードバックが適確に行われ記録されていること。
5.面接・指導
医師による診察と、医師による総合判定説明の面接および指導を総合健診受診者全員に対して受診当日に行なえること。
面接・指導の際には基準検査項目の結果が揃っていること。
6.一般社団法人健康評価施設査定機構に入会していること
本認定制度は一般社団法人健康評価施設査定機構(以下「査定機構」。)という第三者により認証された方法である。
本認定制度による認定の取得を希望する施設は、本認定制度を利用するため査定機構に入会している必要がある。
Ⅳ.優良総合健診施設・新規認定
本要綱のⅢの条件を満たしていることを本学会が設置する優良総合健診施設認定委員会(以下「委員会」という。)で確認した後、 委員会より本学会理事会に認定の可否について建議し、理事会の承認をもって認定する。
認定が承認された施設において、健保連が実施する「健保連人間ドック健診」の指定施設の契約を希望する場合は、認定後に健保連との契約を本学会が行う。
Ⅴ.優良総合健診施設・認定更新基準
優良総合健診施設の認定期間は、平成8(1996)年4月を第1回目として以後3年に一度、一斉に認定を更新する固定期間制である。
本学会の優良総合健診施設の認定を受けた施設が認定期間を終了した後も認定の継続を希望する場合、認定期間内に優良総合健診施設認定の更新審査を受ける必要がある。
新規に優良総合健診施設の認定を受けてから3年に満たない施設であっても、定められた期間内に更新審査を受ける必要がある。
優良総合健診施設の更新審査は、原則として書類審査と実地審査(以下「実査」という。)によって行なう。 書類審査は優良総合健診施設認定更新申請書(以下「更新申請書」という。)と施設調査票、機能調査票によって行なう。 実査は、本学会から通知があった場合に受けるものとし、施設調査票と機能調査票を含む書類に基づいて実地で行なう。 実査に必要な書類については本学会事務局より都度連絡する。実査の結果は、査定機構にも報告する。
優良総合健診施設の更新審査を受ける場合、下記の条件を満たさなければいけない。
1.本学会が毎年実施する施設調査票及び機能調査票が所定の期間内に提出されていること。
2.施設長(または健診部門の責任者)が3年間の認定期間中に1回以上本学会の学術大会に参加していること。
3.施設に所属する職員(看護師、臨床検査技師、または放射線技師が望ましい。)1名以上が、3年間の認定期間中に1回以上本学会が主催する精度管理研修会に参加していること。
4.施設長、事務長、その他の職員のうち1名以上が、3年間の認定期間中に1回以上本学会が主催する優良施設認定基準研修会に参加していること。
5.上記二つの研修会に参加した職員が、優良総合健診施設認定更新時に継続して在籍し実務を担当していること。
6.委員会が定める期日までに、更新審査料を本学会が指定する銀行口座に振り込み、その振り込み証明のコピーを添えて更新申請書を提出していること。更新審査料は、本学会で別途決定する。
7.優良総合健診施設の認定期間を通じて査定機構の会員であり、かつ更新申請時においても査定機構の会員であること。
委員会は、上記の1から7までの項目の全てを充足しており、 かつ精度管理調査の成績が本学会の設置する精度管理委員会によって継続して一定水準を維持していると認められた施設については、 優良総合健診施設としての認定更新を承認する。
認定更新が承認された施設において、健保連が実施する「健保連人間ドック健診」の指定施設としての契約更新を希望する場合は、本学会が健保連に対し契約の更新手続きを行う。
Ⅵ.認定要件の変化に伴う取扱い
1.認定要件に変更があった場合の取扱
施設の合併・統合・売却や経営者または経営主体の交代、移転等による内部レイアウトの変更など、 優良総合健診施設の認定に関わる要件に変更が生じた場合は、3年に一度の認定更新とは別に、 変更の生じた日から3ヶ月を経過する日までに変更手続きを行わなければならない。
要件の変更手続が行なわれた場合は、新規の認定審査に準じて再度書類審査と実査を受けるものとする。 この実査に要する費用は申請施設の負担とし、実査に先立ち前納とする。金額については別途定める。 審査書類並びに入金が確認された後、実査の日程を通知する。
要件変更による再審査により認定を受けた施設の優良総合健診施設認定期間は、次期認定期間に至る残余期間とする。
2.認定取得後に認定基準を満たさなくなったと認められた場合の取扱
一旦認定を受けた施設において、その後の書類審査または実地審査において認定基準に満たないとされた施設については、「改善勧告」を行う。改善勧告を行なった施設に対しては、最長1年間の改善努力期間を設け、 この期間中に施設として認定基準を満たすよう改善する必要がある。 改善努力期間中に限り、優良総合健診施設としての欠格事項に関する健保連への通知は保留する。
改善勧告を受けた施設が改善努力期間内に認定基準を満たしたとして更新認定を再度希望する場合は、 定められた書類を作成して本学会事務局宛てに提出し、更新審査を改めて受けなければならない。審査費用(別途請求する金額)は前納とする。
改善勧告を受けた施設であって、改善努力期間内に更新審査を受けることができなかった施設は、 改善努力期間の終了とともに自動的に優良総合健診施設の認定を取り消すこととする。 また健保連へもその旨を通知し、健保連との指定契約も同時に取り消すものとする。
3.改善勧告によらない認定の取り消し
次の各号に該当する場合、委員会の審議を経た上で施設認定を辞退することを勧告する。
① 要件の変更について、事由発生から3ヶ月を経過しても届け出がない場合。
② 検察または国税等による立件などの不祥事が発生した場合。
③ 虚偽の申告によって施設認定を取得したことが判明した場合。
④ その他、認定施設として適格でないと委員会が判断した場合。
施設認定を辞退するよう勧告したにもかかわらず、改善も行なわれず、辞退もしない施設に対しては、委員会で審議の上、本学会理事会の議を経て認定を取り消すことがある。
施設認定を一旦辞退もしくは取り消された施設が再び施設認定を希望した場合は、新規に申請を行なう施設と同様の手続きによるものとする。
2017年9月28日 制定
2022年12月15日 改定