日本総合健診医学会 専門医研修コアカリキュラム
研修コアカリキュラムを実効あるものにするためには以下のことに注意すること。
このカリキュラムは、研修内容の一つの基準であり、指導医はそれぞれの項目の達成目標を参考にし、評価基準に従って総合評価する。
・達成目標を次のとおりA、Bの2段階に分ける。
・達成目標:
A.理解または経験する必要がある。
B.理解または経験することが望ましい。
・評価基準(自己評価、指導医による評価)は各々a、b、c、dの4段階に分けて、総合評価を
A、B、C、Dに分ける。
・評価基準:
a:人にも指導できるようになった。
b:自分で理解または実践することができる。
c:理解または経験したが実践することは無理。
d:理解も経験もしていない。
自己評価 | a b c d |
指導医による評価 | a b c d |
総合評価 | A B C D |
総合評価(ABCD)は、下記例を参考にして指導医が自己評価と指導医による評価を総合的に勘案して決定してください。
総合評価の具体例
自己評価 | a | b | a | b | c | a |
指導医評価 | a | b | b | a | a | c |
総合評価 | A | B | B | A- | B | B- |
*各項目の総合評価がB以上でその項目に関しての研修を終了したものと認定する。
*研修カリキュラムの全項目について、総合評価がB以上の評価を得た段階で研修終了と認定する。
研修コアカリキュラム
研修内容 | 目標 | 自己評価 | 指導医評価 | 総合評価 | 備考 |
Ⅰ.行動目標 | A | ||||
A.受診者-医師関係 | A | ||||
B.チーム医療 | A | ||||
C.問題対応能力 | A | ||||
D.安全管理 | A | ||||
E.健診面接 | A | ||||
F.健康増進計画 | A | ||||
G.健診の社会性 | A | ||||
Ⅱ.経験目標 | A | ||||
A.総論一般 | A | ||||
1.健診の歴史、優良施設認定条件 | A | ||||
2.健診関連法規、老人保健法、労働安全衛生法、 健康増進法、健康日本21の理解 |
A | ||||
3.地域健診、職域健診の理解 | A | ||||
4.基準範囲・基準値の理解 | A | ||||
5.健診に必要な統計の理解 | A | ||||
6.精度管理の理解 | A | ||||
7.身体診察ができ、記載ができる | A | ||||
8.POSに基づいた健診記録の記載、 診療機関(対医)への依頼書、紹介状、 報告書など書類の作成ができる |
A | ||||
9.基本的な検査法の理解と、基本的診察ができ、 正しい評価ができる |
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1)血液生化学的検査 | A | ||||
2)血液免疫血清学的検査 | A | ||||
3)血算 | A | ||||
4)細菌学的検査 | A | ||||
5)尿検査(定性・沈査)査 | A | ||||
6)便検査(潜血) | A | ||||
7)血液型判定 | A | ||||
8)心電図検査 | A | ||||
9)腹部超音波検査 | A | ||||
10)乳房(触診、超音波、マンモグラフィー) | A | ||||
11)胸部X線読影 | A | ||||
12)上部消化管X線読影 | A | ||||
13)内科的診察 | A | ||||
14)産婦人科診療所見 | A | ||||
10.日常遭遇する機会の多い疾患(生活習慣病、 高血圧、高脂血症、消化管系疾患、肝機能障害、 血液疾患、心血管系疾患、脳神経疾患、代謝性 疾患、がんなど)の病態を正しく把握し、受診者 の対応を行うことができる |
A | ||||
B.必修経験目標 | A | ||||
1.生活習慣病・メタボリックシンドロー ムの理解と対策 |
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1)栄養、食生活、肥満、飲酒、喫煙、 運動などの改善法 |
A | ||||
2)発症増悪因子の個別健康教育法、ヘ ルスカウンセリング行動変容 |
A | ||||
2.がんの予防医学 | |||||
1)がんの一次予防 発癌物質、喫煙、食生活 |
A | ||||
2)がんの二次予防 がん健診の有効性の評価 |
A | ||||
3.虚血性心疾患の理解と予防、生活指導 | |||||
1)生活習慣病としての心疾患 | |||||
①虚血性心疾患の危険因子 | A | ||||
②栄養指導 | A | ||||
③生活指導 | A | ||||
2)不整脈の理解と対策 | A | ||||
4.脳血管障害の予防と生活指導 | |||||
1)生活習慣病としての脳血管障害 | A | ||||
2)一次予防としての栄養指導、生活指導 | A | ||||
5.高脂血症・低脂血症の予防と栄養指導・生活指導 | |||||
1)生活習慣病としての高脂血症・低脂血症 | A | ||||
2)動脈硬化性疾患診療ガイドライン | A | ||||
3)高脂血症予防の生活習慣 | A | ||||
4)高脂血症の栄養指導・生活指導 | A | ||||
5)低脂血症の栄養指導・生活指導 | A | ||||
6.動脈硬化の予防と栄養指導・生活指導 | |||||
1)生活習慣病としての動脈硬化症 | A | ||||
2)動脈硬化一次予防の生活指導 | A | ||||
7.高血糖(糖尿病)の理解と予防、栄養 指導・生活指導 |
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1)生活習慣病としての糖尿病 | A | ||||
2)糖尿病一次予防のための食事指導・生活指導 | A | ||||
8.高尿酸血症の予防と食生活・日常生活指導 | |||||
1)生活習慣病としての高尿酸血症 | A | ||||
2)食事指導と生活指導 | A | ||||
9.肥満とやせの予防と栄養指導・生活指導 | |||||
1)生活習慣病としての肥満症 | A | ||||
2)肥満の一次予防としての栄養指導・ 日常生活指導 |
A | ||||
3)やせの栄養指導・日常生活指導 | A | ||||
10.高血圧・低血圧の予防と栄養指導・生 活指導 |
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1)生活習慣病としての高血圧 | A | ||||
2)高血圧の一次予防としての栄養指導・ 減塩指導・生活指導 |
A | ||||
3)低血圧の栄養指導・生活指導 | A | ||||
11.呼吸器疾患の理解と対策 | |||||
1)胸部X線写真、胸部CT検査の異常と対策 | A | ||||
2)肺機能の異常と対策 | A | ||||
3)換気障害の理解と異常と対策 | A | ||||
4)喀痰細胞診 | A | ||||
12.消化器疾患の理解とその対策 | |||||
1)便潜血反応陽性と対応 | A | ||||
2)腹部超音波検査異常と対応 | A | ||||
3)消化管X線検査異常と対応 | A | ||||
4)消化管内視鏡異常とその対応 | A | ||||
5)生活習慣病としての消化器疾患とその指導 | A | ||||
①逆流性食道炎 | A | ||||
②胃炎・胃十二指腸潰瘍 | A | ||||
③潰瘍性大腸炎 | A | ||||
④下痢・便秘 | A | ||||
⑤脂肪肝 | A | ||||
⑥アルコール肝 | A | ||||
⑦胆石 | A | ||||
⑧慢性膵炎 | A | ||||
6)肝機能異常とその対応 | A | ||||
7)ヘリコバクターピロリ検査 | A | ||||
8)ウイルス肝炎検査 | A | ||||
13.尿所見の異常、電解質異常 BUN、クレアチニンの異常と対応 |
A | ||||
14.血液検査異常と対応 | |||||
1)貧血・多血症 | A | ||||
2)白血球増加・減少 | A | ||||
3)血小板増加・減少 | A | ||||
4)止血・凝固検査 | A | ||||
5)CRP・赤沈 | A | ||||
15.乳房健診への理解と対応 | |||||
1)触診 | A | ||||
2)超音波 | A | ||||
3)マンモグラフィー | A | ||||
16.眼科健診の理解と対応 | |||||
1)視力検査 | A | ||||
2)眼圧検査 | A | ||||
3)眼底検査 | A | ||||
17.耳鼻科健診の理解と対応 | |||||
1)聴力検査 | A | ||||
2)めまい | A | ||||
3)耳鳴・難聴 | A | ||||
18.骨粗鬆症の予防と食生活指導・日常生活指導 | |||||
1)生活習慣病としての骨粗鬆症 | A | ||||
2)一次予防のための食生活指導・日常生活指導 | A | ||||
19.婦人科健診の理解と対応 | |||||
1)婦人科診察所見 | A | ||||
2)細胞診 | A | ||||
20.脳ドックの異常と対応 | |||||
1)MRI・MRA | A | ||||
2)認知度異常 | A | ||||
21.PET健診の理解と対応 | A | ||||
22.総合健診における判定基準の理解 | |||||
1)基準範囲・基準値 | A | ||||
2)診察ガイドライン | A | ||||
23.健診データの信頼性と精度管理の理解 | A |