総合健診の結果は、そのまま病気の診断となることもありますが、病気の疑いがあり詳しい検査が必要と判断されるものから、病気の徴候がなく正常な状態と考えられるものまで様々な評価があります。これらの判定は健診の担当医師により行われますが、その基になる臨床検査の結果について、信頼性を保つために行われているのが精度管理です。
「この検査結果は本当?」「どの施設で受けても結果は同じ?」という疑問を抱くこともあるでしょう。総合健診に限らず、あらゆるサービスを受けるうえで、その質が確保されていることは大変重要です。
アメリカでは医薬品の安全性を確保するために、Good Laboratory Practice(GLP)*1という取り組みが始められました。この方法は、その後、世界的にいろいろな分野へと広がっていますが、日本総合健診医学会でもこの方法に準じた「総合健診の質の確保」を推進しています。
*1:試験検査の精度確保確認のため標準作業手順法
腹囲をメジャーで何回か測ると、80.0cm、77.0cm、82.0cmなどとばらつきがでますし、長年使って伸びてしまったメジャーで測ると正確な値よりも小さい測定値になります。同じように、臨床検査(血液や尿検査など)でもある程度のばらつきは避けられません。
臨床検査の誤差の範囲と正確性は、その施設が使う検査機器の性能・検査薬の品質・採血から検査の実施や結果報告までの間に携わる人の能力などにより決まるものであり、検査項目によっても異なります。
このばらつきが許容範囲内にあるかを見張るのが精度管理の役割であり、許容範囲を超えた場合は原因を調べて改善を図らなければなりません。